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涼風の残響【鬼滅の刃】

第7章 初任務と霞柱


風音が汗を流し実弥も風呂に入ってスッキリしたところで、2人はおはぎをおやつにと頬張りご機嫌になった。
お館様の屋敷へ向かう時とは裏腹に終始穏やかな表情の実弥を引っ張り、風音は現在街の中を楽しく探索中である。

目的はカブトムシの…… 風音曰くカブト君を家に連れ帰る際に入れておくための手頃な籠を探すためだ。

「一人で街を見て回るより、やっぱり実弥さんと一緒に見て回る方がよっぽど楽しい!居心地のいい籠、見つけようね!」

結い上げていない柔らかな金色の髪は背に着くほどにまで伸び、歩く本人と同じように機嫌良さそうにふわふわと背中付近で揺れている。

(朝焼けみてぇな色だなァ。人混みに紛れてもすぐに見付けれそうだ)

実弥が目を奪われるように街行く人の目も朝焼けのような色を放つ風音の髪に目を奪われている。
後ろ姿だけでも目を奪われるのに風音を正面から見れば大きな翡翠石のような綺麗な瞳に更に目が奪われるようで、物珍しさから若干の人集りが出来てしまっている。

本人は実弥とのお買い物が楽しくて気付いていないが、男女問わず多くの人に囲まれ好いた少女が注目の的になるのは実弥的に落ち着かないし、何より誰かが手を伸ばし連れ去ってしまうのではないかと気が気ではない。

「おい、あんま先行くなァ。隣り歩いてろ」

引っ張られていた手を引っ張り返し、風音の手を自らの腕に絡ませてやる。
するとさっきまで手を繋ぎはしゃいでいたのに、腕を組むという初めての行為が恥ずかしいのか、突如として大人しくなり顔を赤らめて静々と歩き出した。

「何だァ?手ェ繋ぐのは恥ずかしくねェのに腕組むのは恥ずかしいのかよ?風音の恥ずかしがる基準……未だに分かんねェわ」

「え?!手を繋ぐのは実弥さんと手だけ触れてるけど、腕を組むと触れる面積が……多くなるから……外だと少し恥ずかしい。あぁ!離れないで!」

恋仲の二人が腕を組むなど恥ずかしい行為でないはずなのに、風音が変に意識してしまうような言葉を紡ぐので実弥は顔を真っ赤に染めて腕を振り払った。
……が、その腕を慌てて風音が掴み元の状態に戻る。

「こっちが恥ずかしくなること言ってんじゃねェ!ったく、周りのヤツら笑ってんじゃねェか」
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