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涼風の残響【鬼滅の刃】

第7章 初任務と霞柱


そこへ頃合いを見計らったかのようにお館様が姿を現し、僅かに目を見開いた後に穏やかな笑みを浮かべてやはり生暖かい視線を送った。

しかしいくらいたたまれない気持ちに実弥がなったとしてもお館様の前でしゃがみこんだままなど有り得なく、柱全員から遅れることなく跪き頭を垂れる。

一方風音は柱全員と呼ばれたことがないのでどうすればいいか分からず数秒間自分のいるべき場所を探した結果、柱たちとは同じ場所には腰を下ろさず少し外れた場所で待機することに決めた。

互いに息災を喜び合う挨拶の後、お館様は風音へと視線を動かして悲しげな笑みとなった。

「最終選別、無事に乗り越えてくれたこと嬉しく思っているよ。ここに風音を呼んだのは二つ要件があったからなんだ。一つは柏葉花のこと」

返事を返さなくてはいけないと分かっているのに、特定の人物の名前が出てきたと同時に喉に何かが詰まったように言葉が出てこなくなってしまった。

それでも何か言葉をと口を動かすが、やはり音として出ることがなく……またそれをお館様も柱たちも咎めることはしなかった。

最終選別、特定の人物の名前

この二つが出た時点で皆が事情を察したからだ。

「花は私たち産屋敷家が管理している墓に埋葬させてもらった。あの子の育手がそう望んでくれたから。場所は実弥も知っているはずだから、またお参りに行ってやってくれると喜ぶと思う」

「……あ……はい。ありがとうございます。あの……育手の方は……息災でしょうか?」

「大丈夫、訃報を聞いた時は酷く落ち込んでしまっていたけれど、今は前を向いて生きてくれているよ。君に言伝も頼まれているんだ。聞いてくれるかい?」

思ってもなかった花の育手からの言伝。
聞くのが怖い気もしたが、友達になりたかった少女を見守り鍛え育てた人からの言葉を聞く以外風音には選択肢はなく、涙を堪えながら小さく頷いた。

「もちろんです。育手の方は……私に何と仰られていましたか?」

「花の体を鬼に荒らされない場所まで移動させてくれてありがとう。連れ帰ってくれてありがとう……と」
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