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涼風の残響【鬼滅の刃】

第7章 初任務と霞柱


何故過去を見てほしいと言われたのか分からずとも、僅かに見えた無一郎の落胆の色に何となく理由を察した。
そもそも過去を知りたいと願う理由など数えるほどしかない。

「そう、それならいい」

そう言われたので手を頬から離されると思ったのに手は触れたまま。

風音が首を傾げると無一郎も同じ方向に首を傾げたのでまるで合わせ鏡のように見え、更に自分たちの姿を近付けようと風音は無一郎の頬に手を添える。

「鏡を合わせてるみたいですね!時透さん、私に過去を見る力はありませんけど、先を知りたくなったら言ってください。まだ数日先しか見えないけど、お役に立てることがあればいつで……もっ!」

ベチッ

と風音の目元にそれなりの衝撃がいきなり与えられ視界が真っ暗闇に包まれた。
何が起こったのかと戸惑う風音に衝撃を与えた張本人の声がかぶされる。

「いつまでやってんだァ?もう終わったんなら手ェ離せよ……何だァ?!お前らいつまでも変な視線送んなァ!……冨岡、何笑ってやがる……喧嘩売ってんなら買ってやるからこっちこいやァ!」

風音を解放したかと思えば実弥は義勇に掴みかかりに行ってしまったので、今度は風音が実弥を引き止める番となってしまった。

「実弥さん!お館様がそろそろ来られるのではないでしょうか?!喧嘩しててはお館様も驚いちゃいますよ!冨岡さんも実弥さんを笑ったのではなく、私が実弥さんにペチッて叩かれた姿が面白かったのかも!」

「うっせぇ!そもそもお前がコイツらの前で変なこと喋るからこうなっちまったんだろう……が……何でお前も笑ってんだよ」

普段見れない実弥の年相応の青年みたいな柱とのやり取りが微笑ましく、無意識に風音の表情が笑みで満たされていた。

「ううん、なんかいいなって。実弥さんも皆さんも笑顔だから、なんかいいなって思っただけ。見てる私の方が嬉しくなっちゃった。ありがとう、実弥さん」

気の抜ける風音の言葉に実弥の頭に昇った血は急降下。
ヘナヘナと地面へとしゃがみこみ頭を掻き毟る。
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