第7章 初任務と霞柱
見えているのがその場面ならば取り敢えず命の危険はないと安堵し、実弥はやけに強い光を灯している風音の瞳を見つめ返す。
「呼んでいただいてる。それより先に今の状況をどうにかしてみろ。コツ掴みかけてるっつってたろ?俺に絞れ」
「はい、たぶんもうすぐ……あ。いけました!今は実弥さんの視点のみです!……うん、もう見えない。落ち着きました」
一同胸をなでおろす。
その中でやはり無一郎が無表情ながら首を傾げている。
「よく分からないんだけど。お館様に呼んでいただいてること、その子に言ってなかったの?」
聞かなくても皆がその話に触れていなかったことを知っていたが、頭で理解しきれない今の光景に思わず聞いてしまったようだ。
そして返ってきたのはやはり肯定を意味する全員からの頷きだった。
「言ってねぇよ。昼飯食い終わってからでも問題ねェって俺が判断してたからなァ。見えんのはいいが、任務前は配慮してやらねぇと無駄に傷つくっちまうから厄介だ。多少はどうにか操作できるようになってるようだが」
「それさえどうにか出来りゃ派手に助かるよなぁ!あ、そうそう、この前嬢ちゃん俺の警備の時の様子見て笑ってたろ?猫の親子、マジでずっとついてくんのよ……振り切る時の切ない鳴き声にどれだけ胸を痛めたか……」
どうやら本当に猫の親子に懐かれていたらしい。
話の流れから家に連れて帰ることはしなかったようだ。
「そうでしたか!可愛らしかったので胸を痛める気持ちはすごく分かります!」
猫の話で盛り上がっている二人は放っておき、実弥は風音の不思議な能力に加えある意味で稀血であることを他の柱に話した。
「コツ掴んだようだが、説明聞いても全く要領掴めねェ……バッとしてシュンって下ろしてググッと……とか言いやがる。ふざけてんのかと思いきや真剣な表情してるから余計タチ悪ィ。あと新しいアイツの情報。胡蝶、アイツの血の話だァ。血鬼術使える鬼も頭から被せっとのたうち回っちまうらしいぞ」
「それは……凄いですね。私の血がそれだったなら研究に研究を重ねて、鬼退治用のお薬を大量生産しているところです。でも少し風音ちゃんの体が心配ですね。辛そうにしているとかはないでしょうか?」