第7章 初任務と霞柱
(年下の女にここまで振り回されんのかよ……マジでらしくねェなァ)
「はァ……んなら俺と風呂一緒に入れっか?」
「お……風呂?!うーん……うん!大丈夫!お風呂なんてお母さんと入って以来誰とも入ったことないから少し恥ずかしいけど、実弥さんとなら楽しそう!背中洗いっこしたりお湯かけあったり」
何も理解していなかった。
子供のままそこらへんは成長しなかったらしく、無邪気に喜ぶ姿は実弥の脳から熱を下げさせた。
「いや……もっと恥ずかしがれよ。着物脱ぐの分かってんのかァ?」
「分かってるけど、恥ずかしいより楽しそうが勝りました!それに手拭い巻き付ければ体は見えないし、何とかなりそうだよ!」
自分に警戒心がないだけだと分かっていても、ここまで警戒心がなければ男として見られているのか不安になってくるのは仕方がないだろう。
どこまで言えば恥ずかしがるのか試したくなり、実弥は口元に笑みを浮かべながら風音の頬を両手で包み込んで動かせないよう固定した。
「体洗う時どうすんだァ?手拭い取れんのかよ?」
「うん、後ろ向いてるし見えないよ」
「前洗う時どうする?手拭い巻き付けたまま洗うのか?」
「……えっと、それは手で隠しながら。洗い終わったらもう一度巻き付けて……」
徐々に恥ずかしくなってきたのか、風音の頬が赤くなり始め実弥の手に伝わる頬の温かさが増した。
「手拭いが何で手元にある前提で話し進めてやがる。俺が取り上げたらお前の体隠してくれる手拭いはなくなんだぞ」
「取り上げる?!……それは……恥ずかしい。お腹くらいなら見えても平気だけど胸とか……その……ちょっと」
ようやく羞恥を取り戻した風音に小さく笑い、実弥は頬から手を離して恥ずかしさからふらふらする体を引き寄せる。
「女同士じゃねェんだから俺相手と言えど羞恥心くらい持っとけ。俺はいつでも一緒に風呂入れっから、入りたくなったら誘って構わねぇぞ」
「う……はい。もう少し恥ずかしさがなくなったらお誘いします」
結局風呂は別々に入り、眠る時は一緒の布団に入った。
…… 風音の恥ずかしがる基準は体が隠れているかいないかだけらしい。