第6章 贈り物と日輪刀
「うん!戻って皆でお茶にしよ!きっと伊黒さんのお叱りも終わってるはずだし」
風音の手を取り歩き始めた実弥は風音の言葉に小さく笑った。
「伊黒のお叱りなんてすぐに終わるわけねェだろ。ここに来たのが他の奴らだったら終わってただろうがなァ。下手すりゃ俺より堪えるんじゃねェか?……見てみろ、終わってなかったろ?」
可笑しそうに笑う実弥から小芭内と前田へ視線を動かすと……本当に終わっていなかった。
実弥に叱られてる時も前田は涙目になっていたが、今は地面へとポタポタ涙を零すまでに至ってしまっている。
「な、なるほど。実弥さんとは違う厳しさなのね。伊黒さん、お陰様で実弥さんと口付……じゃない!実弥さんが穏やかになってくれました!よければお茶して行ってください!前田さんもぜひ!あ、あの、私はお茶菓子買ってくるので居間で待っていて下さい!」
永遠と静かに厳しい言葉を吐き続けていた小芭内に声を掛けて止めようとしたのに、危うく要らないことまで口走りそうになってしまった風音は実弥から手を離して、全集中の呼吸を駆使し走り去って行ってしまった。
「ブッ……自爆しやがった。ハハッ、伊黒。せっかくだから茶飲んでけよ。アイツ、財布持ってねェからすぐ帰ってくるだろうしなァ」
なんとお財布を持たずに出て行ってしまったらしい。
まぁ小芭内からすればその事よりも風音が口走り、それに対して笑っている実弥が先ほどまでしていたことに意識が全力で向くわけで……
「落ち着くためとは言え何をしていたんだ?全く……あまりからかってやるな。いくら柊木がお前を好いていると言えど構い過ぎると愛想尽かされるぞ」
「あ?あぁ、まぁ今んとこは大丈夫だ。鬼を滅ぼしたらカミさんになってくれって言ったんだが、いい答えもらえたんでなァ」
あっけらかんと言ってのける実弥に驚き、小芭内は前田の存在すら忘れて目を見開き実弥を見つめる。
「お前……柊木と夫婦になるのか?」
「何年先になるかわかんねェけどなァ。アイツはこれから鬼殺隊で色んな奴と関わって色んな関係を築いてくだろ?今のうちに捕まえとかねェと、他の奴に取られちゃ堪んねぇからなァ」