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涼風の残響【鬼滅の刃】

第6章 贈り物と日輪刀


「ったく、いい根性してやがるわ。話も済んだことだ、日輪刀ちゃんと見とかなくていいのかァ?さっきはまともに見れなかったろ?」

夢のような話から現実的な話に戻されたものの、先ほどは鋼鐵塚に急かされ満足に日輪刀を見られなかったので見たい気持ちが蘇ってきた。

「見る!実弥さんの日輪刀と似てるかなぁ?くらいにしか見れなかったから見たい。あ、でもせっかくお湯沸かしたから一緒にお茶飲もう?準備するから……」

「ごめんくださーい」

茶の準備をしようと実弥の腕の中から出ようとしたところで、再びの来客の声に2人は顔を見合わせる。

「誰でしょう?」

「うちに用がある奴なんざ鬼殺隊の関係者くれぇだろ。しかも聞き覚えあるような……隠か何かだったと思うんだが。隊服、届いたんじゃねェかァ?」

「それは是非とも上がってもらわないと!実弥さんは居間で待っててね、私がお迎えとお茶の両方するから!ここは実弥さんの継子としてきちんとお役目を果たさなくては!」

家の中くらい自分が好きに動いたとて隠が変に思うこともないだろうが、やる気満々な風音に水を差すことが出来ず、実弥は盆の上に三つの湯呑みを乗せて居間の方へ体を向けた。

「んならこれだけ持ってっとくから後は任せんぞォ。俺は居間で待ってっから」

「はい!美味しいお茶を入れて持って行きます、師範」

そう言い残して風音はそそくさと玄関へと隠を迎えに行ってしまったので、実弥は片手で盆に乗せた湯のみを運びながら今聞こえてきた声の主を頭の中から引っ張りだそうと思案しだした。

(誰だっけかなァ?だいたいの奴は覚えてんだけど……流石に声だけ聞いた事ある奴まではなァ……いや、ちょっと待てェ。胡蝶が静かに怒りぶちまけてたのが聞こえた時に……謝罪してた奴の声に似てねェかァ?)

何か思い出した様子な実弥の表情は穏やかなものから一変、目が吊り上がり額に血管が浮き出した……かと思うと、盆を居間に置いて足が汚れるのも構わず足袋のまま縁側から庭に下りて玄関へ向かう。

そこで見たのは笑顔で屋敷の中へ隠を案内しようとしている風音の姿と、遠目からのみであるが見たことのある隠の姿だった。

「アイツ……変なモン持ってきてやがったらタダじゃおかねェ。おい、風音!先にそいつが持って来たモンここで確認しろ」
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