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涼風の残響【鬼滅の刃】

第6章 贈り物と日輪刀


風音が怪我の回復に専念する傍ら家事や実弥の鍛錬の見学に勤しむ中、実弥が煩悩と戦い続けていたある日の鍛錬中、門の外から涼し気な風鈴の音が響いてきた。

「たくさんの風鈴の音が聞こえる。実弥さん、風鈴屋さんって移動しながら風鈴売ってるの?」

この屋敷に風音を保護して1年弱が経過している。
つまり夏真っ盛りなので練り歩き風鈴を売る者がいてもおかしくはないのだが、この風鈴の音に実弥は心当たりがあった。

手に握りしめていた日輪刀を鞘へとしまい風音へと向き直る。

「……風鈴ぶら下げて歩いてんのに違いねェけど、風鈴をぶら下げてるだけだ。お前の日輪刀が届けられんぞ、こっち来い」

今日も今日とて家事を終わらせ実弥の稽古を縁側に腰掛け見学していた風音は、手招きする実弥の元へ走りよってから共にゆっくりと門へ向かって歩み出した。

「風鈴をぶら下げて日輪刀を?私、日輪刀が出来上がればてっきり受け取りに伺うものとばかり……鬼殺隊に関係する人が持ってきてくれてるの?」

「あぁ、刀鍛冶の里っつぅ場所で日輪刀を専門的に作ってる人が直々に持って来てくれんだ。その人がこれからお前の担当刀鍛冶になるんだが……個性的な人引いたなァ」

個性的な人と言われどんな人なのかと首を傾げると、実弥に苦笑いで頭をくしゃりと撫でられたので風音の疑問は深まるばかりである。

(専門的なお仕事してる人は個性的な人が多いって聞くし、寡黙で厳格な人なのかな?すぐ会えるけどすごく気になる)

難しい顔をして考える風音の肩に腕を回す実弥は変わらず苦笑いで、結局そのままの表情で二人は門の前に辿り着いた。

「まァ悪ぃ人じゃねェから心配すんなァ。仕事に熱心な人なだけだ」

「はい!実弥さんに拾ってもらってから出会える人は皆優しいから大好き。きっと担当刀鍛冶さんのことも大好きになるんだろうな」

難しい顔から笑顔となり日に日に大好きな人が増える風音へ実弥は僅かに笑みを返し、訪問者が声を出す前に門を開いた。

そして全貌か明らかになった刀鍛冶の想像以上の不思議な格好に風音は目を見開き驚きを露わにすることとなる。
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