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涼風の残響【鬼滅の刃】

第5章 試験と最終選別


「話は後だ。嬢ちゃん、俺の未来を見ることは出来そうか?今は痛てぇかもしんねぇけど、ちょっと頑張ってくれ」

いつの間にか2人の目の前に移動していた天元は、風音の頬を優しく掴み自分の方を向かせてやる。
その表情は痛みに歪んでおり実弥と天元も思わず眉間に皺が寄るが、懸命に天元の先を見ようとする風音に不安を抱かせぬよう二人共が笑顔を向けた。

「ん……んぐ。ふふっ、んん!」

「はァ……宇髄のん見えたかァ?」

まだ痛みの余韻は続いているかもしれない。
しかし笑顔を見せて頷く風音の体から力が抜けたので、随分と痛みが引いたのだと何となく理解出来た。

その様子に二人は胸をなでおろし、実弥は風音の口の中から布をそっと取り出してやりキュッと体を抱き締める。

「もう俺のんは見えてねェな。んで……宇髄のんは今も流れ続けてんのかァ?」

「実弥さんのはもう見えないです。天元さんの未来は……手が離れたら見えなくなりました。でも……すみません、お二人の許可なく見てしまって。いい気持ち……しないですよね」

シュンと俯き涙を滲ませた風音を実弥が抱き締め直し、天元はふにっと頬を柔らかく摘んだ。

「許可も何も不可抗力だろうが……気にすんなァ。体痛くねェならもう泣くな、胡蝶に会えるまで寝てろ」

「俺は俺の未来見ろっつったろ?何か笑われたのは派手に気になっけど、嬢ちゃんが心痛めて泣く必要全くねぇって!不死川の言う通り休んどけ」

休んで構わないと言われた風音は二人の顔を交互に見遣り、実弥の胸元にコテっと頭を預ける。

「何かね、お父さんに会って……実弥さんを失いたくない、失ったらどうしようって思いがずっと頭の中にあったんです。それが原因かなぁ?このままだと……柱の皆さんとお会いしても同じこと繰り返し……そう。でも誰かがいなくなっちゃうより、体が痛む方がいいなって……やっぱり思ってしまいます」

「……嬢ちゃん、それは……」

天元が風音の考えを窘めようとすると、実弥は首を左右に振ってその先の言葉を止めさせた。

「俺も柱の誰もいなくならねェよ。だから心配してねぇで少し休んでくれ。明日、最終選別行くんだろォ?」
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