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涼風の残響【鬼滅の刃】

第4章 お稽古と呼吸の技


落ち着きを取り戻して実弥と共に居間へと戻るや否や、風音は何度も頭を下げ席を外した謝罪を行った。

席を外した内容が内容なので……と言うより席を外したくらいで怒るはずもない杏寿郎と天元は笑顔を覗かせるまで回復した風音に胸をなでおろし、他愛のない話を四人でしてから任務に赴く実弥を見送った。

実弥がいなくなれば泣いてしまうのでは……と内心ハラハラしていたがそうはならず、何だったら傷薬をどうぞと……ほんの少し匂いの改善された軟膏を頂戴し、早速先日の任務で負った傷に塗ってその即効性に度肝を抜かれた。


そんなこんなな穏やかな時間を過ごし……先を見てしまった風音に猛烈な眠気が襲いかかってしまう。

「風音、眠いなら寝て構わない。不死川が部屋に布団を敷いてくれているのだろう?」

「色々疲れてんだろ、俺らのことは気にせず寝ちまいな。何だったら酒飲んで不死川の帰り待ってるからよ!」

そうは言ってもらっても、わざわざ自分の身を案じて一緒に時間を過ごしてくれた二人を置いて眠るなど出来ない風音は、体を危なげに左右にふらふら揺らしながら首を振った。

「杏寿郎さんと天元さんを差し置いて……眠れません。こんなに優しい貴方たちを置いて寝たらバチが当たります……それに実弥さんにいい子でお留守番して待ってるって言ったので、帰るまで待ちたいなって」

「ふむ、不死川もその心意気は嬉しいと思うが、そのまま倒れて怪我をしては悲しむのではないか?」

「俺たちのどっちかが体支えてやることも出来るけどなぁ……不死川がヤキモチ焼いちまいそうだし。やっぱ嬢ちゃん、部屋に行こうぜ。送ってってやるからよ」

どちらにしても迷惑を掛けているこの状況で二人の負担が少ない方を考えた結果、部屋に戻ることが最善だとの考えに至り小さく頷いた瞬間……玄関の戸が開く音が居間まで響いてきた。

その音に風音の体がピクリと反応するも、もはや立ち上がる力もないので体の揺れだけを必死に抑えて実弥が入ってくるであろう居間の入口を見つめる。

そうして風音が頑張って眠気をおしてまで待ち続けた実弥の姿を確認すると、ふにゃりと表情を緩めた。
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