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涼風の残響【鬼滅の刃】

第4章 お稽古と呼吸の技


行きはフラフラ帰りは頭をさすりながらもルンルンで帰ってきた風音と、頭痛を感じているように頭を押えながら帰ってきた実弥に生暖かい視線を向けた二人は突如として真剣な眼差しとなった。

そんな二人に風音と実弥も緊張を走らせ、茶やお茶請けの菓子の乗った盆を静かに畳の上へ置いた。

「……えっと、私は部屋に戻りましょうか?込み入ったお話なら私は……」

「いや、君に関わることなのでここに居てくれ。君の……父上に関することだ」

先ほどまでの和やかな雰囲気は一気に霧散していった。
風音に至っては顔色を青白くして、正座している脚の上に置いていた手を強く握り小さく震わせている。

「おい、風音。知るの怖いかもしんねェがしっかり聞いとけ。お前がケリつけるっつったことだ。何も一人で背負うべきことだなんて言うつもりもねェし、コイツらもそう思ってっからわざわざここまで足を運んだはずだァ」

震える手の上に実弥の手が重ね合わされ、優しく包み込んでくれた。
その行動とあいまって表情も綻び、厳しい言葉と裏腹に優しい笑みが風音の震えを次第に鎮めさせていく。

「そう言うこった!栄養失調から短期間で健康体まで持ち直し、更には不死川の厳し過ぎる稽古にも耐え……親父さんのことを受け止めて前に進んでる嬢ちゃん一人で抱えさせねぇって。まぁ不死川との関係性が思わしくなければ先送りにしてたけどな」

二人の今の遣り取りは杏寿郎と天元にとって安心をもたらすものだったようで、風音は実弥に続きようやく表情を綻ばせて二人に頭を下げた。

「どのようなことも必ず受け止め、立ち止まらないとお約束します。私のお父さんのこと……どうか教えて下さい。私のお父さん……見つかりましたか?」

実弥の言う通り自分が決めたことである。
これがあるからこそ実弥に鬼殺隊剣士を目指すことを許してもらえた……聞くことを拒めば実弥との約束を反故することに繋がり、剣士になることさえ許して貰えなくなる。

しかし意を決した風音に突き付けられたのは、受け入れようにも受け入れ難く信じたくないものだった。

「風音、君の父上の特徴をお館様から聞いた上で柱たちは父上を探していた。そして先日、特徴が一致する目撃された父上は……十二鬼月の下弦の鬼と成り果てていた」
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