第5章 遮二無二〜伏黒恵〜
「よお、恵。お前、みやびの事食ったんだって?」
翌朝、真希さんに言われた。
「く……食ってません!」
慌てて否定した。
「真希、違うって!食ったのは飯だよ。みやびはまだ食ってないんだって。」
「えっ?何だよパンダ!早く言えよ!」
「しゃけ!」
「真希さん、勘違いだったみたいだね。」
乙骨先輩が言った。
「乙骨先輩、この人たちどうにかして下さい。」
「ごめんね、伏黒くん。みんな早とちりで。」
謝る乙骨先輩。
まともなのはこの人だけだな。
「おーい!みんな何してるの?」
その時、みやびの声が聞こえた。
遠くから走ってくる。
「可愛い……」
思わず声が漏れた。
「恵、心の声漏れてんぞ。」
真希さんが言った。
「確かにあれは可愛い。」
パンダ先輩は俺と同じ意見。
「しゃけ。」
狗巻先輩も。
そして息を切らしたみやびが到着した。
「みんなこんなとこで何してるの?日下部が呼んでるよ。」
「今日は課外授業だったね。すっかり忘れていたよ。みんな、急ごう。」
乙骨先輩に続き他の3人も走り出す。
「恵、また後でね。」
みやびだけは残って俺に声をかけてくれた。
「はい。気をつけて。」
「バイバイ!みんな待ってよ!」
みんなの後を追いかけるみやび。
「可愛いな。」
すっかりハマってしまった。
夕方、コンビニに行った帰りにベランダにいるみやびを見かけた。
風呂上がりだろうか。
ラフなワンピースを着て、緩く団子に結われた髪は濡れている。
そんなみやびが可愛すぎて……
よからぬ妄想が止まらない。
次から次へと湧いてくる。
ワンピースを捲り上げ、白くて滑らかな肌に舌を這わす。
ゆっくりと。