第5章 遮二無二〜伏黒恵〜
3人で硝子さんのところに向かう。
「みやび、まさかアイツか?」
人気のないところに来た時、真希さんが言った。
「真希……」
「惠なら大丈夫。口硬いし。」
「何なんですか?」
2人が何を言っているのか全くわからなかった。
すると真希さんは再びみやびの袖を捲りあげた。
「これ見てみろ。」
「えっ、これは……」
青あざの上に赤黒くなったアザがあった。
どこかにひどくぶつけた様なアザ。
「他にもあるんじゃないのか?」
真希さんは続ける。
「うん……服で隠れるところに。」
何だよ、それ。
「アイツ……まあいい、とにかく硝子さんとこ行こう。」
「硝子、大丈夫だから。ただのアザだし。大ごとにしたくないの。」
「わかった。」
どいういう意味だ?
「どういう事ですか?」
問いただす。
「みやびが1級になっただろ?」
真希さんが答えた。
「ええ。それがどうかしましたか?」
NAME1#は先月1級術師になった。
「アイツはそれが気に食わないんだろ?」
真希さんがみやびに聞いた。
「う……ん。」
「アイツってみやびさんの許婚の事ですよね?」
みやびには子供の頃に親が決めた許婚がいる。
彼は去年高専を卒業した2級術師だ。
「アイツはみやびが先に昇級した事が許せないんだよ。」
「まさか……それで殴ってるんですか?」
「いいの、恵。そのうち治るだろうし。」
「みやびさん……」
「じゃ、私これから任務行くね。」
何事もなかったかの様に手をひらひらさせ、任務へと行ってしまった。
「伏黒、どうした?何か調子悪そうだけど。」
「本当、何か顔色悪いわね。」
午後からは体術の訓練だった。
だが、みやびの事が気になって訓練どころじゃなく、虎杖達に心配された。