第3章 舌先三寸〜日下部篤也〜
悟の顔見てると何度も浮気されて悲しかった時の気持ちが蘇る。
悟はそんな事お構いなしで自分の気持ちばかり押し付けてくる。
こんなところでやめて欲しい。
「報告に行くぞ。」
日下部が助け舟を出してくれた。
おかげで悟から逃げることが出来た。
日下部と歩いて学長室へ向かう。
さっきの間接キスの事が気にかかる。
「虫歯だったらさっきのでうつったかも。」
「もし虫歯になってたら責任とってちゃんとしたキスしてやるよ。」
またまたセクハラ発言。
だけど私、知ってるんだ。
この人にそんな勇気なんてないって事。
キスする勇気も、ましてやおっぱい触る勇気だってない。
言うだけでなにもしてこないんだから。
仕事終わり、硝子さんの家でお酒を飲む。
「五条とはどうなの?アイツ、あんたに未練あるみたいだから。」
「何なんだろ?あんなに浮気しておいて。」
「より戻す気あるの?」
「ない。悟見てると悲しい事思い出すから。女から電話かかってきて怒鳴られた事とか。もし、またされたらって思うと耐えられない。」
「そうだろうね。あんたは頑張ったよ。よく耐えたね。」
「うん、自分でもそう思う。」
「そういえばみやび、日下部の事はどう思ってんの?」
「どうって言われても……」
返事に困る。
「アイツ、セクハラばっかしてるけど嫌じゃないの?」
「日下部は口だけだから。」
「確かにね。」
硝子さんに今日の出来事を話した。
日下部に助けたお礼におっぱい揉ませろって言われた事、日下部が自分で舐めた飴を私の口に入れた事、もし虫歯になってたら責任とってちゃんとしたキスしてやるって言われた事。
「だけど、口だけなんだよ。何もしてこないの。」
「本当はして欲しいの?」
硝子さんが悪戯っぽい目でこっちを見てる。
「いやでは……ないかも。」
「じゃあ、虫歯になった事にして責任取れって言ってみたら?」