第3章 舌先三寸〜日下部篤也〜
もし、何かあったらきっと助けに来てくれる。
私は信じてる。
「みんな!無事!?」
「先生!」
大きな呪霊が学生達を捕まえていた。
どう見てもこの呪霊は2級以上。
3級以下だと聞いていたのに。
後で伊地知シメる!
「私が隙を作るから逃げなさい。」
隙を作り、みんなを逃した。
みんなが逃げられたか確認してたら私の方が隙を見せてしまった。
「ウッ!」
呪霊に背中を攻撃され、腹側から壁に激突して床に落ちた。
倒れる前に何とか反撃したから呪霊の方も奥まで飛ばされてる。
「ハァッ、ハァッ、後ろから攻撃してんじゃないわよ!」
何とか立ち上がる。
呪霊もダメージを受けたようだ。
ゆっくり起きあがろうとしてる。
相手が体勢を立て直す前に攻撃したいところだけど、目の前が霞んで焦点が合わない。
「日下部のバカァ、早く来いよぉ。」
その場に倒れ込む。
「みやび!」
その時、日下部の声が聞こえた。
「おい、大丈夫か?」
「く、さかべ……あそ……こ。」
やっぱり助けにくれた。
あっという間に呪霊を倒し、私の方へ駆け寄ってくる。
ありがとうって言ったら、
「お礼に後でおっぱい揉ませてくれ。」
だって。
最悪。
話したくなくて目を閉じた。
日下部が私を抱き上げて運んでくれてる。
そしたら悟のバカみたいに明るい声が聞こえてきた。
日下部と言い争ってる。
「早く硝子さんとこ連れてって。」
目を開けて強く言ったら今度は本当に気絶した。
目が覚めると処置室にいた。
日下部が側についててくれたみたい。
ちょっと嬉しかった。
起きあがろうとしたら背中を支えてくれた。
今日は優しいな。
そう思ったのも束の間、飴をペロッと舐めてから私の口に押し込んできた。
「間接キスだな。」
マジで気持ち悪い。
正直に言ったら凹んでた。
その後悟がやって来て日下部に変な事されてないか聞かれたけど、されてないって嘘ついた。