第3章 舌先三寸〜日下部篤也〜
「終わったよ。まだ眠ってるから起こさないで。」
部屋から硝子が出てきた。
「おう、サンキュ。」
「五条とは別れたよ。」
タバコに火をつける硝子。
「知ってるよ。お前、禁煙は?」
「中休み。どうする?押し倒す?」
「アイツももう子供じゃないしな。」
「そんな勇気ないくせに。」
「何が言いたい?」
「五条は未練たらたらだよ。」
「そうだな。今日、目の当たりにしたよ。」
「急がないと五条が押し倒すよ。」
「アイツならやりかねないだろうな。」
「指咥えて見てるつもり?」
「さあな。さて、可愛い寝顔でも見てくるかな。」
部屋に入るとみやびはスヤスヤと眠っていた。
可愛い顔しやがって。
俺はみやびに惚れてる。
みやびがまだ学生の頃から。
「あー、日下部いいなあ。私も欲しいなあ。」
俺が舐めてる飴を羨ましそうに見ていたみやび。
「いるか?」
「うんっ!ありがと。」
飴を一つやっただけなのにとても嬉しそうに笑った。
その笑顔にやられた。
そして、その飴を舐める顔が妙にエロかったんだ。
生徒に手を出すわけにはいかないから卒業するまで待った。
卒業後、みやびは俺と同じ道を選んだ。
「日下部、これからも毎日一緒にいられるね。」
卒業式の後、俺があげた飴を舐めるみやびが言った。
「それにしてもお前、飴舐めてる時の顔めちゃくちゃエロいよな。」
「ハア?バッカじゃないの!セクハラ親父!」
顔を真っ赤にして怒るみやび。
チクショー、可愛いすぎる。
この頃のみやびはまだまだガキで、揶揄うと可愛い反応を見せてくれていた。
しかし、この後俺は奈落の底に突き落とされる事となる。
「日下部、あのね。私、五条と付き合う事になったんだ。」