第3章 舌先三寸〜日下部篤也〜
だから待てって言ったんだよ。
何も考えずに突っ込むからこんな事になるんだよ。
渋々中へと入る。
こうなったらとっとと助けてご褒美もらうか。
「みやび!どこだ?」
名前を呼びながらさっき聞いた場所へと進む。
「みやび!」
角を曲がると床に倒れているみやびを見つけた。
「おい、大丈夫か?」
「く、さかべ……あそ……こ。」
みやびが指さす方向を見る。
一匹の呪霊がこちらへ向かってくる。
既に体のあちこちにダメージを負っているようだ。
「シン・陰流『抜刀』」
刀を抜き、呪霊を斬った。
「う、ああああ!」
断末魔をあげながら果てる呪霊。
どう考えても3級どころじゃない。
準1級、下手すりゃ1級レベルか?
みやびが戦力削ってくれてなかったら俺でも怪しかったぞ。
「ふう、疲れた……大丈夫か?みやび。」
倒れているみやびを見る。
「ちょっと……油断しちゃって、あばら折れてる。3級以下だって言われたけど絶対嘘だよね。ありがと、日下部。」
「お礼に後でおっぱい揉ませてくれ。」
「ヤ……ダ……」
「おい!みやび!」
意識を失ったみやび。
抱き上げると背中が血濡れていた。
あばらだけじゃねえな。
出血が酷い。
抱き上げて外へと急ぐ。
「みやびちゃーん!ダメじゃあん、よその男に抱かれちゃ。」
入り口の方から間の抜けた明るい声が聞こえた。
五条悟だ。
応援呼べとは言ったがコイツを呼べとは言ってない。
「もうお前の女じゃねえだろ?」
「アンタの女でもないじゃん。」
「ンンッ、うるさい。日下部、早く硝子さんとこ連れてって。」
気がついたみやびが言った。
「へえへえ、わかりましたよ。」
するとみやびはまた気を失っていた。
家入硝子のところに運んで治療してもらう。
「綺麗に治るか?傷跡残らないように。」
「任せて。」
廊下のベンチに座って待つ。
タバコが吸いたいが禁煙中。
飴で何とかやり過ごす。