第2章 密事〜禪院直哉〜
それからなんぼ待ってもみやびちゃんからの連絡はなかった。
1ヶ月ほどしてこっちから電話してみた。
でも何べんかけても出てくれん。
こっちも意地になって毎日かけまくった。
そしたら5日めの晩にやっと出てくれた。
「お前、何やねん。俺からの電話無視しやがって。」
「ごめん。ちょっと県外の山奥にいたから。スマホは家に忘れてたの。」
元気のない声。
「仕事か?」
「うん。」
「高専の術師いうのは大変なんやなあ。」
「まあ、ね。」
「どないしたんや?大丈夫か?」
「大丈夫。」
「ご飯、いつ行けるか聞こう思ってかけたんやけど。」
「ごめん。ちょっとしばらく忙しいの。」
「わかった。待ってるわ。何か疲れてそうやけど大丈夫か?具合悪いんか?」
「直哉くん……優しいね。大丈夫だよ。もう元気出たから。ありがとう。」
それからまた1ヶ月程連絡がなく、俺からかけた。
そして、やっぱり電話に出えへん。
また山奥かいな。
気になって気になって鬼電した。
そしたら今度は2日めで出た。
「なんや、また電話忘れとったんか?」
「うん。えへっ。」
「何や、それ。」
可愛いなあ。
「何の用?」
「何の用?やなくてご飯いつになったら行けるねん。」
「ごめん……えっと、来週の火曜日の18時以降なら大丈夫。」
「ほな迎えに行くわ。」
「ありがとう。18時に高専前にお願いします。」
約束の日、時間通りにみやびちゃんを高専まで迎えに来た。
「さあ、どうぞ。」
「ありがとう。」
みやびちゃんを車に乗せて、俺も隣に乗った。
「ほな、例のとこ頼むわ。」
運転手に指示すると、車が走り出した。
今日は俺の行きつけの料亭へ連れて行く。
淡いピンクのワンピースに太めのベルトをしてるみやびちゃん。
「今日も可愛いなあ。」
「あ、ありがと。」