第5章 遮二無二〜伏黒恵〜
私は今、自分の部屋で恵と悟にローストビーフを振る舞っている。
何でこんな事になったんだっけ。
「美味いね、これ。みやびが作ったの?」
悟が言った。
「そうだよ。」
「美味いよ、みやび。」
私の顔を見て微笑む恵。
ほんの数十分前までこの人と裸で抱き合ってた。
そうだ、私は恵と……
ヤバい、今頃になって実感し始めた。
恵の大きな手が、長い指が私に触れて。
柔らかい唇が、熱い舌が……
ああ、どうしよう。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
顔から火が出そう。
終わった後、余韻を楽しむ間もなく悟が来て慌てて服着たし。
恵のキス、すごく上手で頭クラクラしちゃってとろけちゃった。
恵は私の光、憧れの存在。
恵がいたから私は生きてこれた。
「みやび、お前僕に隠してる事あるだろ?」
不意に悟が言った。
「何の事?」
わかってるけどあえてとぼけた。
「恵、みやびの体にアザあった?」
「そういえばどこにもアザなんてなかったです。」
「みやびの体綺麗だった?」
「ちょっと、悟!」
「みやびの体は綺麗でした。」
素直に答える恵。
「みやび、お前いつの間に反転術式使えるようになった?」
「初めからそう聞けばいいでしょ?何でわざわざ恵に言わせるのよ!」
「あっ……」
今更気づいて赤くなる恵。
可愛いんだから。
「みやびが度とぼけるからいじめたくなったの。で?いつから?」
「さっき初めて出来た……恵に汚い姿見られたくないって思ったら出来ちゃった。」
「スゲェ……」
感心する恵。
「だけど他人には出来ないよ。やり方がわかんないもん。」
「僕と同じだね。お前下手すりゃ特級クラスでもたおせるんじゃない?強くなったね。僕の見込んだとおりだよ。」
「恵のおかげ。」
「なんだよ、僕じゃないの?」