第5章 遮二無二〜伏黒恵〜
「お前はそんなに恵が好きなの?」
「好き、大好き、超好き。」
ここまで言われると少し照れるな。
「うわぁ、言うねえ…恵は?」
「俺もみやびが超好きです。」
「そうか、わかった。みやび、お前の婚約は破談にしたよ。」
「え?どうやって?」
「僕、五条悟だよ?もっと早く僕に相談しとけばよかったんだよ。」
「だって……」
「僕も真希から聞かされるまで気づいてやれなくて、ごめんな。お前は隠すのが上手いから。」
みやびの頭を撫でる五条先生。
「真希が……」
「ああ。みやびの事助けてくれって言ってたよ。」
「そっか。ハルくんは?」
「アイツは和田家に連れてって親に全部報告したよ。みやび泣かすわ禪院家の恵殴るわだから親もカンカン。婚約辞退しろって脅したら即オッケーだったよ。」
「俺の素性言ったんですか?」
「使えるものは何でも使わないとね。中村家の方には僕がみやびの後ろ盾になっていい男探すって言っておいた。ちなみに恵はオッケーだからね。」
「ありがと悟。たまには頼りになるね。」
確かに。
いつも飄々としてて何考えてるのかよくわかんない人なのに。
いざというときには本当に頼りになる人だ。
「学長にチクるのやめてくれる?」
「今回はやめてあげるけど、もし今度何かやったら迷わずチクる。」
「恵、みやびちゃんって可愛い顔して何気に鬼だよ。」
「そういうところも好きです。」
迷いなく答える。
「あーあ、動いたら腹減ったな。みやび、ローストビーフ食わせてよ。」
「何で悟が知ってんの?ローストビーフの事。」
「匂いでわかる。何ならお前らが何やってたかも匂いで……」
「五条先生!」
「バカ!」
二人して叫んだ。
「まあいいや、早く食わせてよ。」
そして3人で遅い晩飯を食った。
みやびの手料理はめちゃくちゃ美味かった。