第13章 グロッタの孤児
その隣にほら出てきたよ?と男の子が女の子の背中を押す。
1歩前に出された女の子が恥ずかしそうにサランを見る。
「あ、あの…サランさんですか?
歌姫の…」
サランは女の子の目線に合うようにしゃがんだ。
「歌姫かどうかは私には分からないけど
サランって言うのは私の名前よ。」
サランが優しく微笑むと女の子が嬉しそうに笑った。
「あの!私、少し歌を聞きたいの!もちろんお金は払わなきゃいけないって知ってるからね。
あの、私それで…」
えっとえっと、と次の言葉が溢れる女の子。
何から話せばいいか迷っていると隣の男の子がはぁっとため息を吐いた。
「おれコーアってんだ、この子はラァラ。サランさんの歌を1回聞いてまた聞きたくてお小遣い貯めてたんだよ。」
「ちょっとコーア!それは…」
ラァラがコーアの背中に隠れる。
やはり恥ずかしいのだろうか?
サランはそんな2人のやり取りがとても可愛く思えた。