第83章 妹の決意
その夜
寝る場所はシルビアと同じ部屋にした。
サランもシルビアもベロニカの事と神の乗り物の話で頭がいっぱいいっぱいだった。
「セーニャさんは強いですね…。」
サランはふとそんなことを呟く。
「そうね…。」
シルビアも目に見えて落ち込んでいた。
二人の間に沈黙が流れる。
二人は顔を合わせず、互いに背中合わせで寝転がっていると静かな竪琴の音色が静かに響きだした。
「竪琴の音?」
サランはその音に耳を傾ける。
シルビアも音に気付いたらしい。
「………セーニャちゃんの竪琴の音ね。
ベロニカちゃんを想ってるのよ。」
後の世も 一つの葉に生まれよと契りし
いとおしき 片葉のきみよ
涙の玉とともに命を散らさん
うつろう時に迷い 追えぬ時に苦しみ
もがく手がいかに小さくとも
この願い一つが私のすべて
「何の歌でしょう…?とても優しくて、でも切なくて悲しい
」
サランはむくりと起き上った。
「サラン。」
シルビアはサランの腕をつかんだ。
「今はいかないほうがいいわ。」
「え?」
「ブレインちゃんが気付くはずよ?
今は彼に任せましょう?」
サランはそうですねと言ってベッドにまた寝ころんだ。