第11章 ダーハルーネ逃走劇
静かなる海は母のように穏やかで
優しく包みたもう
暗き深い海の底でも光を届けよう
悪しきものはばからず光へと
サランが歌うと水面から静かにまるで眠っていた魂が空へ舞う様に光の粒が浮かび上がる。
「なんだあの声は…くっ…頭に響く!」
ホメロスが頭を押さえ苦しむ。
クラーゴンはその光が嫌なのか船から触手を離し後ずさりする。
「サランちゃん…アナタ一体?」
サランが振り返りシルビアに微笑みかけた。
「皆さんの力になりたいだけです。」
1歩足を出そうとするとカクンと力が抜け傍にいたブレインに抱きとめられる。
「まるで、海に眠っていた魂が浄化されてくようですわ。とても綺麗…」
セーニャが辺りを見回す。
「えぇい!クラーゴン!船ごと叩きつけろ!」
ホメロスの言葉にクラーゴンは触手を上げた。
「うっそだろ…」
みなが目をつぶった時、大砲の音が鳴り響いた。
大砲の弟にクラーゴンの触手がピタリと止まる。
「今度はなんだ!?」
ホメロスは次から次に来る妨害に苛立っていた。