第11章 ダーハルーネ逃走劇
ダーハルーネの商戦や漁に使われる船がクラーゴン目掛けて空砲を撃っていた。
空砲の音に怯んだクラーゴンはゆっくり海の底に潜っていく。
「おーい!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
1つの商船から男の子の声が響いた。
「ヤヒム!? 」
ヤヒムとその父である町長がシルビア号の隣に並ぶ。
「息子の声を取り戻していただきありがとうございます。
話を聞いたところ私の勘違いでした。
どうやら、悪魔の子と呼ばれるあなた方の呪いかと思ってましたが違ったようです…」
「僕ね、あの兵士のお兄さんが魔物と話してるのを見ちゃったんだ!
それで驚いて声が出て、見つかって喉に呪いをかけられちゃったの…」
「やっぱりあいつがやってたのか…」
カミュはちくしょうと拳を握った。
「悪魔の子と呼ばれるあなた方が人助けをしてデルカダールの兵士が魔物と繋がってるのか私には分かりませんが、どうやら事情があるようですね。
今のうちにどうぞ逃げてください」
町長の言葉にみんなはうなづいた。
「ありがとうございます。」
セーニャがぺこりとお辞儀をしてシルビア号は夜の海域を進んだ。