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月夜の歌姫

第11章 ダーハルーネ逃走劇


その頃

「えぇい!まだ悪魔の子とその仲間は見つからないのか!?」

金髪の男がイライラと兵士に指示を出していた。

「すみません、くまなく探しているのですが足取りが…」

「もういい!早く捜索したまえ、町から逃げられてはたまったものではない。」

「はっ!……ホメロスさん!?あれはなんでしょう!?」

「ん?」

ホメロスが兵士の言葉に振り返る。

そこには巨大な船に乗り込んだブレイン達が出航していた。

「んふ、じゃあね!ホメロスちゃん!」

シルビアがホメロスにウインクする。
ホメロスは悔しい感情を露わにしていた。

しかし、逃走成功の余韻もアリスの声でかき消される。

「なんだありゃ!?」

目の前に巨大なイカ、クラーゴンが姿を現した。

「いやー何よこの化け物イカ!?」

シルビアが目を丸くする。
ホメロスは勝ち誇ったように笑った。

「私に逆らったことを海の底で後悔するんだな!
さぁクラーゴンよ!
ネズミどもを海の藻屑にするがいい!」

ホメロスの言葉にクラーゴンは船に触手を巻き付けた。

「あっしはまだ死にたくねぇでがすよ〜!?」

アリスが必死に舵をきろうとするが船はビクともしない。

その時だ。
サランがよろよろと部屋から出てきた。

「サランちゃん!?まだふらついてるじゃないダメよ出てきちゃ!」

まだ顔色がよくなってないサランが首を横に振った。

「歌わせてください…少しは時間稼ぎができるから…」

「でも…」

クラーゴンがぐらりと船を揺らした。

「ねえさん!ひとまず策があるなら試した方がいいでがすよ!?」

サランは、アリスの言葉に船頭に立ち息を吸った。
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