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月夜の歌姫

第11章 ダーハルーネ逃走劇


先程、レストランで絡んできた男だ。

「サランちゃん、どうしたの?」

「あ、いえ…なんでもありません。
それよりこれからどうしますか?真正面から突っ込むのは無謀ですし…」

シルビアには考えがあるようだった。

「アタシが注目を集めるからその間にセーニャちゃんとベロニカちゃんで2人を裏手から連れていって」

「私は…?」

サランが不安げに顔を近づける。

「だったら、私とシルビアで陽動するからセーニャとあんたで2人を連れ出して!」

ベロニカがさぁ行くわよと言い走り出す。
シルビアもベロニカに続いて走った。

「では、私達も参りましょう。」

サランはセーニャと共に裏手へ回った。



「待ちなさぁい!」



町にいるみんなが見守る中、シルビアの声が響き渡る。
声の方を見るとシルビアとベロニカが仁王立ちしていた。

「アタシの仲間においたする人はお仕置よ!」

ビシッと綺麗に指を突き出す。
ベロニカも続いて「お仕置よ!」と真似をした。

「なんなんだあいつらは?」

男が困惑している間にベロニカは火の玉を作り広場へと放つ。

「まだ、仲間がいるとは…あいつらも捕らえろ!」

兵士たちはシルビアとベロニカの方へ走っていく。

「お姉様とシルビア様に注目が行ってるうちに私達も行きましょう。」

その間にセーニャとサランは広場の脇から顔を覗かせた。

「お二人共、こちらに」

ブレインとカミュはサランとセーニャと共に走り出した。
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