第1章 孤児となった少女
ドンと身体が何かにぶつかりその衝撃でサランは尻もちをついてしまった。
「あら、ごめんなさい大丈夫?」
そこにいたのは白と黒の縦模様に布ボールが付いた服を着ている男だった。
「あ…」
逃げられないと思った恐怖にサランは小さく震えた。
「どうしたのかしら?」
サランの様子に男は首を傾げる。
「お客さん、そいつとちょっと話がしたいんで後にしてもらっていいすか?
鞄の中に確認したいことがありましてね」
男は瞬時に何が起こったのか理解をした。
しかし、彼はサランを咎めることも店主の味方になることもなかった。
「あー!ごめんなさい!この子買い物の仕方まだ教えてなくて…!
欲しいものがあったらアタシに言ってってしつけてたのに、迷惑かけてごめんなさいね
お代はいくら?」
男の言葉に店主は「560ゴールド…」と答える。
男は小袋から1000ゴールドを取り出し店主に渡した。
「お釣りは迷惑料として取っといて、じゃあアタシこの子に留守番させなきゃだからまたね」
男は店主にウインクするとその場にしゃがみサランの目線に合わせ優しく声をかける。