第1章 孤児となった少女
町に着く頃はすっかり日も暮れて夜だった。
サランはシリウスを町の馬小屋に預けると町を見回す。どうやら、旅サーカス団がやって来ているみたいで町はとても盛りあがっていた。
「サーカス?へぇ…いいなぁ。」
サーカスの演目には人気旅芸人もいるらしく聞きつけたファンが押し寄せているのか看板の前には人集りができていた。
「お嬢ちゃん、サーカスに興味あるの?」
突然知らない玉乗りお兄さんに話しかけられ、サランはヒィッと声を上げると慌ててその場から逃げ出した。
大人はいつも私を追いかける。
もちろん自分が悪いのも分かってはいた。
けれどそれでも生きたかった。
生きていかなきゃいけないと思った。
大人は誰も助けてくれないから生き抜くしか無かった…。
今日は幸い1食は食べられた。
明日以降の食料を調達しよう…
サーカスに夢中だったら大丈夫でしょ?
サランはそう思いサーカス開演時間に合わせて数十分町の隅で眠った。目を覚ますとサーカスは終わっていてサランはやらかしたと慌てた。
(今からでもまだ大丈夫だよね?)
寝ぼけた思考回路だと正常な判断ができず
目をつけていた店に入るや否や堂々と食料を持ち出そうとしてしまった。
「これ!!!何してる!!なんで君の鞄にうちの品物があるんだ!?」
(しまった…まだ店主いたの…)
何も考えられず固まり、走り出そうと1歩足を踏み出した時だった。