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月夜の歌姫

第83章 妹の決意


葬儀も終わりかけ、ファナード長老がやってきた。

「皆様にお話があります…どうぞ、大聖堂の方へいらしてください…。」

ファナードはそれだけを伝えるとさっさと先に大聖堂へと向かっていった。

それと入れ違いになるように、セーニャがやってきた。

「サラン様…お姉様が居なくなられてしまったこと。
どうか自分のせいになさらないでください。」

セーニャはサランの心を見透かすように見つめていた。

「え…。」

「お姉様は私達に世界を託しました。
ですので、お姉様のために生きて欲しいのです。」

「セーニャさん…。」

サランの瞳が揺れて、1粒の涙が静かに頬を撫でた。

「では…。」

葬儀を取り仕切る喪主であるため、セーニャはその場に残った。

「サラン、行きましょう。」

サランはマルティナに促され、みんなと一緒に大聖堂へと向かった。
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