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月夜の歌姫

第82章 双子の運命


呼ばれたセーニャはサランの方へ歩いてくる。

「どうかなさいました?」

サランはその赤いものを指さした。

「もしかして?」

セーニャはサランが示している場所を見つめた。
それは紛れもなく知った背中。
ベロニカの背中だった。

「あら…お姉様ですわ。
こんな所にいらしたのですね!」

セーニャは嬉しそうにベロニカの元へ駆け寄った。
ベロニカは俯き眠っているようだった。

「起きてください、お姉様。
風邪をひいてしまいますわ?」

セーニャの呼びかけにベロニカは何も反応しない。

「お姉様…?どうしてしまったの?」

ベロニカの様子を見てサランは1歩下がった。
何かを感じたらしい。

「どうしたの?サラン?」

サランは俯いてくるりと背中を向けた。

その間に、ブレインの手の紋章がベロニカの杖に反応する。セーニャは、それを見て触れて欲しいとブレインに頼んだ。
ブレインがベロニカの杖に触れると、ベロニカに何が起きたのかを見せてくれた。
ベロニカが力を振り絞り、みんなを救った。
しかし、大樹に残ったベロニカは大樹と共に…

そこで記憶は閉じた。

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