第82章 双子の運命
ラムダの被害は目に見えて悲惨なものだった。
その様子にセーニャは周りを見て悲しそうに顔を伏せた。
「なんてひどい…あんなに美しい場所だったのに。」
セーニャは何も言わない。
何も言えそうになかった。
サランは奥に長老と町の人が話しているのが見えた。
その町の人はこちらに気づくと振り向いた。
「セーニャ?もしかしてセーニャなの?」
町の人はベロニカとセーニャの育ての親だった。
セーニャも嬉しそうに笑った。
「お父様…!お母様…!
ご無事だったんですね!」
セーニャは2人に駆け寄った。
「ベロニカさんも既に来てるんですかね?」
そういえばとサランは辺りを見回した。
「うーん…パッと見、ここら辺にはいないみたいね?」
シルビアもキョロキョロと見回した。
セーニャがふと、ベロニカの気配を感じたらしい。
「北の方から懐かしい感じがしますわ。」
「双子の勘てやつか?」
カミュの質問に答えず、セーニャはベロニカの気配を感じる所へ行こうと言い出した。