第8章 夢を追う
ニコスがサランの俯いた顔を覗き込んだ。
「サラン、泣いてるの?」
「え?」
サランは自分でも気づかないうちに涙を流していた。
「やだ…なんで涙が…」
慌てて裾で拭い笑顔を作る。
それを見ていたニコスは深く息を吐くとドシドシと歩きどこかへ行ってしまった。
すぐに戻ってきたが、ニコスは手に荷物を持っていた。
それをサランに押し付ける。
「ねえさんが行くならサランもつれて行きなさい。
じゃなきゃ許さないから」
シルビアはキョトンとしていた。
サランもなんでと顔をする。
「私はただ寂しいってだけで、別に行く気はないよ!?
ニコスどうしたの?」
「どうしたもこうしたも、そろそろあんたも世界見てきなさい。
いい加減サーカス以外の色々なことも見るべきだよそれならねえさんの旅についてくのが早いと思うの。」
「でも待って!?私は別にここに残っててもいいでしょ!?」
「あーもう!」
2人が言い合っているとシルビアがちょっと待ちなさいと間に入った。
「別にアタシはサランちゃんがいても良いけど
サーカスはどうするの?
それにサランちゃんの意見だって聞いてないわよ」
2人がサランを見る。
「わ、私はついて行きたい…」
今にも消えそうな声で呟いた。
それを見たニコスはやれやれと思ったようだ。
「でも、アタシはともかく歌姫がいなくなっちゃったら大変じゃない?」
シルビアのが不安げにニコスを見つめる。
ニコスは悪戯げに笑った。
「だいたい!あなた達2人がいると私はこのサーカスの3番手なの!
いい加減1番人気を得てみたいのよ!!
邪魔なのどこへでも言ってくれる方が私は嬉しいわ!」
そう言うとくるりと周りまるで演劇をするように熱烈に語った。