第1章 孤児となった少女
ーー2年後
「泥棒!!!この盗人め!!!」
パン屋の旦那が大きな声を上げ年端もいかぬ少女を追いかける。少女はパン1つを大切に抱え全速力で走っていく。
「ハァハァ…ったくすばしっこいネズミめ…!」
店主が店に戻ったことを確認すると少女は一息ついた。
「良かった…今日は食べられそう…」
ギュルルルとお腹が鳴る。
それもそのはずだ。少女は2日間、何も食べられていなかったからお腹が鳴る。
サラン11歳
彼女は2年もの間、盗みと野草の果実で生き長らえてきた。
1週間、食べ物らしい食べ物にありつけなかった日もあり我ながらよくここまで生きてこれたと思っている。
「この街もそろそろ出なきゃいけないね…」
相棒である馬の「シリウス」に独り言を言うかのように話しかける。シリウスはそんなサランを気にしないかのようにブルルと応える。
「それじゃあ次の町に行こうか。」
よっこいしょと小さな体を持ち上げシリウスに乗る。
シリウスはその小さな少女を乗せて次の地方に向かった。