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月夜の歌姫

第78章 鉄鬼軍王キラゴルドの正体


その言葉も今のマヤには届かなかった。
兄をクソ兄貴と罵りブレインを雑魚勇者と笑った。

「ヒーロー気取り?
俺さえ救ってくれなかったやつらが今更?
あぁ!うざい!超うざい!バカなクソ兄貴も勇者も黄金にしてやるよ!」


「カミュ…!」

ブレインの呼び掛けにカミュは頷く。
自分の手でマヤを止める。
並ならぬ覚悟ではないことを悟った。

「2人とも、死なないでね?」

シルビアも心配そうに2人を見つめた。

「大っ嫌いだ!兄貴も!世界も!」

マヤはそう言うとカミュに向かって爪を振り下ろす。
カミュはブレインの手を引き爪から逃げる。

「カミュちゃん!バイシオン!」

シルビアがカミュに向かって呪文を唱えた。
カミュに力が湧いてくるのが分かった。

「ありがとう!」

カミュはステップを踏み、新しく覚えた影分身を試す。

「凄い…本当に分身した。」

3人に増えているように見えたカミュに関心の声が漏れた。
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