第75章 カミュの秘密
「神父さん、カミュさんと安全なところに向かって走ってください!」
サランの叫びに神父はうなづいて走ろうとした。
「あ、あの!オレ…」
カミュはとても不安そうに2人を交互に見つめる。
「大丈夫だから、カミュ今は行こう!」
「でも…」
戸惑うカミュにサランは叫んだ。
「いいから行って!」
サランがカミュの方を向いた時、魔物が持つ刃はサランの体を捉えた。
ドスっと鈍い音がしてサランは痛みによろめく。
「サランさん!」
サランは何とか踏ん張り床に膝を着くことは無かった。
「早く…行きなさい。」
サランは優しく笑った。かつて自分を守るために安心させるために微笑んだ母親のように。
カミュはサランをこれ以上、自分のせいで辛い目にあってほしくないと思い急いでその場から離れようとした。
「ケケケケ!行かせると思うか?」
神父とカミュの前に先程までいなかった魔物が現れた。
「なんだって!?」
神父はカミュを庇うように抱きしめた。
しかし、魔物は神父に攻撃してカミュを拘束した。
「神父さん!」
サランは走りカミュを捕まえた魔物に攻撃しに行く。
しかし、別の魔物がそれを阻止した。
「ケケ!こいつはお頭が連れて来いってご所望なんだ。悪いが連れていかせてもらうぜ!」
サランを跳ね返すとまた剣を体に叩きつけた。
痛みに顔を歪め唸った。
「サラン!おい!やめろ…!分かったから。
オレが行けばいいだろ。」
「ダメ…カミュさん…」
サランはまた立ち上がる。
フラフラになりながらもそれでもカミュを守ろうとした。