第72章 記憶喪失の少年
カミュが全員の方を向く。
「あ、あの…オレの名前は多分カミュで合ってますけど…
でも、どうしてそれを?
あなた達、もしかしてオレのこと何か知っているんですか?」
カミュの発言にサランはやっぱり…と心の中で呟く。
「お主…まさか、記憶を失っておるのか?」
「オレ…昔のことを思い出せないんです。
気づいたら世界はひどい有様だし
本当、訳が分からなくて…
覚えているのは自分の名前と、なにかやらなくちゃいけない大事なことがあったような…
それくらいしか…」
真剣な顔をしてブレインを見つめる。
「こんなこと、頼める義理ないですけど
もしオレのことを知っているなら
あなた達に同行させてもらえませんか?
特にあなたといれば、何かを思い出せそうで
盗み食いした分は弁償します。
掃除でも皿洗いでも何でもします。」
ブレインはロウを見つめる。
「ふむ…確かにワシらと共に行動すれば
いずれ記憶を取り戻せるかもしれんのぉ」
「それに、今のカミュちゃんをこのまま放っておくのも危険だと思うの。
ねぇ?ブレインちゃん。連れていきましょう?」
ブレインはうんとうなづいた。
カミュは嬉しそうに笑い頭を下げた。
「ありがとうございます!
オレ邪魔にならないよう頑張ります!」
ちょっと皮肉屋なカミュが真面目な好青年みたいになっているのを見てサランはフフっと笑った。