第71章 指輪
シルビアが頷くと扉に向かって声を張り上げた。
「入っていいわよ。」
がちゃりと音がしてそこにはいつもの4人がいた。
「……」
マルティナはちらりと見えたサランの体にある痣に申し訳なさで視線を逸らした。
「サラン…怪我は大丈夫?」
ブレインが心配そうに後ろから顔を覗かせた。
「なんとか?まだ動くと痛いですけど。」
「そっか…良かったら。」
ブレインはサランの側に寄りベホイムを唱えた。
気持ちばかりかサランの痣や痛みが緩和されていく。
「ありがとうございます。」
「ほんとはすぐにでも治療してあげたかったんだけど…」
「ごめんなさい、ちょっと混乱が酷かったみたいで」
サランは困ったように笑った。
それを見たブレインもホッとしたように笑う。
「サラン…えっと…
さっきはごめんなさい…」
マルティナはなるべくサランを傷つけないように言葉を選びサランとは距離を取る。
「あなたがアタシを傷つけないようにしてくれてたのは分かってるの…
それなのにアタシ酷いことをしちゃったわ」
「ぶ、ブギーに操られてたのは分かっているんです。
でも……やっぱり怖くて…」
「そうよね…あなたの大切な物までも取ろうとしたから」
マルティナはシルビアの手を握るその指に着いてる指輪を見た。
「…許してなんて都合いいわよね。
あれだけ傷つけたのにアタシは…」
サランとマルティナはそれから無言になった。