第71章 指輪
サランは視線を逸らしたシルビアにそうだよね?と聞いた。シルビアは何も答えない。
「シルビアさん、守りきれなかったのはシルビアさんのせいじゃないですよ。
私がシルビアさんの言うことを聞いていればこんな怪我しなかったんですし…
むしろ、シルビアさんを危険な目に合わせちゃったし…」
ラァラは俯き小さな声でシルビアに向かってごめんなさいと頭を下げた。
「……事情は詳しくは分からないが。怪我が治るまでここの部屋はすきに使ってくれ。
ラァラ、コーア。飯を作ってこようか。おいで。」
ハンフリーの後を2人はついて行った。
2人きりになったシルビアとサランは無言でお互いに目を逸らした。
シルビアは守れなかったと悔やみ、サランはマルティナから逃げたことを悔やみ。
「サランはなんでアタシのことを庇うの?」
「………」
「あの子の言う通りじゃない!
あなたの行動なんて分かるのにマルティナちゃんに近づくことを許して2人にしちゃって。
それなのにサラン、あなたは仲間を傷つけたくない一心で防戦して。」
「嘘なんて付いてません。
私は守られましたよ。シルビアさんに。」
サランはベッドに沈み真っ直ぐ天井を見つめた。