第71章 指輪
ハンフリーがサランを抱えて教会に戻ってくると子どもたちが不安そうな顔でハンフリーを見つめた。
ハンフリーが戻ってきたと分かるとみんなホッとしたような涙を流し駆け寄ってくる。
「コーア!ハンフリーお兄ちゃん!」
ラァラも嬉しそうに2人に駆け寄った。
しかし、ハンフリーに抱かれている人物を見て唖然とした。
「もしかして、サランお姉ちゃん…?」
「あぁ…」
「い、生きてるよね?」
「大丈夫だ、怪我が凄いが気を失っているだけだ。
ラァラ、空いてるベッドはあるかい?
そこで彼女を休ませたい。」
「あ、あるよ!こっち!」
ラァラの案内で3人は空いていた部屋のベッドにサランを寝かせた。
ベッドに下ろす時に痛みで顔が歪みうぅっと苦しそうな声を上げた。
「誰がこんな酷いことを…」
「分からない…俺たちが気を失ってる時に何があったんだ…」
ラァラはハンフリーもコーアもいなくなってしばらくしてからのことを話した。
町中に魔物が徘徊し、この協会だけが人間の唯一の安全地帯だったと。
そこへサランとシルビアがやって来てハンフリーたちも助けてくれると約束してくれたと。
「そんなことが…」
ハンフリーは悔しそうに顔を歪めた。