第71章 指輪
下の階へ降りて更に町へ出ようとするとズキンと耐えきれないほどの痛みにしゃがみ込んだ。
早くどこか、落ち着ける場所に…
そう思い焦れば焦るほど体は動かなくなっていく。
魔物にされていた人々の間をすり抜けカジノを出ようとした。
ズキン
動けば痛みが増す。
本当なら仲間に治療してもらうのが優先のはずだがサランは混乱していたのかまともな判断が難しかった。
整理のつかない気持ちの方を何とかしたいと思ってしまった。
痛みにしゃがみ込み頭を抱える。
「おい!あんた、大丈夫か?」
「なぁ!サラン?サランだよな!?
なんでここにいるんだ!?」
聞き覚えのある声に薄目を開ける。
そこにはハンフリーとコーアが居た。
「あれ…2人とも無事だったんですね。」
ホッとしたような表情を浮かべたかと思ったら
サランは意識を手放した。
「おい!おい!?」
「なぁ、ハンフリー兄ちゃん。
サランを1度教会まで連れてってくれねぇか?
ひどい怪我をしているみたいなんだ…
誰が一体こんな酷いことを…!」
コーアが怒りで拳を握りしめた。
「あぁ、もちろんだ。
でもそれならレディ・マッシブやルーキーも近くにいるはずなんだが。
あとマルティナさんも。」
ハンフリーは辺りを見回したが彼らは見当たらなかった。仕方ないからと、とりあえずサランを抱え孤児院のある教会へと帰った。