第70章 妖魔軍王とバニーガール
ブギーの所へ向かったシルビア達を見てうるさくて厄介なやつがいなくなったとマルティナは一息つく。
「うふふ、もうすぐよ。サラン?
もうすぐあなたもブギー様のものに」
完全に目から生気が消えた時サランの左手に着いてた指輪がきらりと光ったのを見逃さなかった。
「あら?なにこれ。こんな質素でダサいものブギー様のお仕えとして相応しくないわ。」
左手の薬指から真珠の指輪を取ろうとする。
(ダメ…それは……誰だっけ…?
………誰だったっけ?
ブギー様から貰った………違う…もっと、大切な……
思い出せない…………
あぁ…どうでもいいのかも……)
目を閉じかけた時、自分の呼ぶ声がハッキリと聞こえた。
サラン!!
(………誰?……シ……?)
『さ、帰るわよ?おいで』
遠い昔の記憶、幼き日の自分に居場所をくれた人がいる。
記憶にモヤがかかって誰だかわからない。
『アタシ、シ……って言うの』
『行くとこないなら一緒に行きましょ?』
『心配しないで?もう大丈夫よ。』
あの日から全てが変わった。
手を引かれそれについて行くしかなかった自分に優しく微笑む背の高い誰か。
『とても素敵な歌声だったから!』
そうだ…歌うことが素晴らしいこともあの人が教えてくれた。