第70章 妖魔軍王とバニーガール
檻の中がやけに静かではないかと感じた。
チラリと檻に目を向けるとマルティナがサランを抱きしめ、サラン自身はだらりと力が抜けている。
表情こそ見えなかったが全員が瞬時に悟った。
サランがやられる。飲み込まれると。
ブギーもその様子を見てにたぁっと笑みを零した。
「どうやら、マルティナが勝ったみたいだね。
大丈夫。あとからみんなまとめて魔物にしてあげるから。」
シルビアが檻の方へと走る。それに続いてブレインも檻へと向かった。
「サラン…!サラン…!サラン…!起きなさい!」
「サラン!目を覚まして!サラン!」
檻越しにシルビアとブレインが叫ぶ。
サランを手中に収められたと優越感に浸っていたマルティナがうるさいなと悪態をついた。
「シルビア、今はとにかくブギーを倒そう。
そうすれば姫様をもサランも救える。」
グレイグの言葉に狼狽えた。
「…倒して早く2人を助けよう!」
ブレインに言われ困ったような表情を浮かべたがシルビアは強く頷きブギーに向かって鞭を振った。