第70章 妖魔軍王とバニーガール
比較的狭い檻の中でも器用に薙刀を振ったり蹴りを出してくるマルティナに対してサランは攻撃を避けるだけで精一杯だった。
しかし、どう立ち回っても何度となく攻撃を体で受けてしまう。
「どうしたの?やり返してこないのかしら?一方的にやられるのがお好き?
それとも追いかけっこが好きなのかしら?」
「マルティナさん!やめてください!
あんな下品で汚らしい魔物に仕えてもいいことなんてないですよ!」
息が上がり喉の奥がじんわりと痛みを感じる。
何度体にマルティナの足が食いこんだだろうか
全身にアザができ痛みが走る。サランの表情は苦痛に歪んだ。
「ブギー様を下品ですって?
はぁ、ほんとに何も分かってないわね。
それより、あなたはどうなのよ?
未だにあのシルビアの傍にいるんでしょ?
あんなナヨナヨした男だか女だか分からないやつのどこがいいのかしら?
ブギー様はとても誠実で素晴らしい方よ。
あなたも私と一緒にブギー様に仕えましょ?」
マルティナはそういうとサランを抱きしめた。
急なことでサランの体からふいに力が抜ける。
ぱふぱふと音を立ててマルティナの胸にサランの頭が埋もれた。
(マルティナさん…やめてください…
お願い…やめて…)
マルティナの技のせいなのか体に力が入らず
思考回路がだんだんと鈍くなっていく。
「うふふ、そう。それでいいのよ?
可愛い小鳥ちゃん?」
マルティナが優しく、しかし妖しく微笑む。