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月夜の歌姫

第68章 カジノの町グロッタ


そこに居たのは翼のある魔物だった。

「魔物!?」

サランが驚き、つい叫んでしまう。

「町の中にまで魔物が!?
ブレイン!油断するんじゃないぞ…!」

グレイグもブレインの前に立ち構える。
しかし魔物は戦闘する体勢もしなければ襲ってくる様子もない。
呆れたようにため息を吐いてつづけた。

「おやおや…困りますな。
どうか落ち着いて下さいませ。
このグロッタの町は今や幸せな楽園に生まれ変わったのです。
戦闘なんて野暮ですぞ。」

魔物は悪趣味な像を見上げる。

「野蛮なコロシアムなんて古い!
これからは六軍王であるブギー様が作った、モンスターカジノ!それこそがここの名物ですよ!」

「あぁ…あの変なのがブギーって言うんですね。」

サランがポロリと本音を漏らしてしまった。

「む…!?変なのとはなんですか!?」

「あ!ごめんなさい!」

そんなやり取りを見てシルビアは思わず吹いてしまった。

「まぁいい…ブギー様の偉大さを今に知るさ。
カジノに興味があるなら2階へ行ってみてください。
どうなっても知りませんがね。フフフ。」

魔物は不気味な笑みを浮かべた。
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