第68章 カジノの町グロッタ
サランはハッとしてブレイン、ロウ、シルビアを見つめた。サランの言いたいことが分かったのかシルビアが頷く。
「もしかしたら、そうかもしれないわね。」
遠くから男をアニキと呼ぶ声が聞こえた。
「おっと、連れが来たみたいだ。
それじゃあな、縁がありゃグロッタの町で会おうぜ。」
男は歩き出し、呼ばれた声の方へ向かった。
「グロッタの町か…なんだか胸騒ぎがする。」
グレイグがうむと唸った。
サランもグレイグと同じようになんとも言い難い不安感を抱いていた。
「とにかくその美人な武闘家マルティナかもしれぬのならなおさら確認せねばなるまい。」
一行はグロッタの町へ入っていった。
町へ入るとコロシアムが目に入る。
そこにはかつて英雄グレイグの像が掲げられていたが、そこには三つ目で牙がむき出しのふくよかな魔物の像になっていた。
「なんだか様子がおかしいわね…それにあんな悪趣味な像、前にもあったかしら?」
シルビアの言葉に思わずぷぷっと吹き出してしまった。
「ようこそグロッタの町へ」
町の人が彼らに声をかけてきた。