第68章 カジノの町グロッタ
おのおの仮眠を取り、全員がめざめたのは昼過ぎだった。
「いかんいかん、1日を無駄にしてしまうとこじゃった…。」
ロウが苦笑いをする。
全員が揃い、荷物も整えたところでグロッタに向けて出発した。
「ブレインちゃん!いつかの仮面武闘会が懐かしいわね!
ちゃんと戦ったブレインちゃんすごく強かったわ。」
シルビアはるんるんと足を鳴らす。
「あぁ、そういえばありましたね。」
「わしらもお主たちと出会ったのはそういえばグロッタの町じゃったな。
あの時はお主が生きていたなんて思いもよらなかったわい。」
グロッタの町で起こった懐かしい出来事の話に花が咲く。
サランは彼らの話を聞きながらふと、グロッタで出会った子どもたちを思い出していた。
「無事だと…いいな…」
誰かに聞いてほしい訳でもなくポツリと言葉がこぼれ落ちた。
グロッタの町に近づきいよいよ入ろうとした時、マスクの男がブレイン達に近づいてきた。
「よう!あんた達も噂を聞き付けてこんな所までやってきたのか?」
ロウとブレインがぽかんとする。
「はて?噂とは?」
彼らの態度を見てマスクの男は噂のことを話してくれた。
「なんでい!あんた達、もしかして何も知らないのか?世界が滅亡してみんな落ち込んでいるだろ?
そんな心の傷を癒してくれるこの世の楽園がグロッタにあるって話だ。
この間、すれ違った武闘家もグロッタの町にいくって言ってたしな。
みんな癒されたいのさ。」
武闘家という言葉にサランは食いついた。
「あの!その武闘家さんて女性ですか?
髪の毛が長い。」
「あ?…あぁ、そのねぇちゃんのことか。
そうだぜ?すっげぇ美人だったなぁ」
男は遠くを見つめた