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月夜の歌姫

第66章 悪夢を絶つ


サランがアーウィンに近づき微笑む。

「あなた。ようやく元のあなたに戻ってくれたのね。」

それは確かにサランではなくエレノアが話しているとこの場にいる全員が悟った。
心做しかサランの表情がエレノアと重なる。
アーウィンはサランの頬に手を添えた。

「あぁ、信じられない。
君なのか?エレノア。」

エレノアは静かに確かにうなづいた。

「あなたを苦しめていた呪縛は私たちの息子。
ブレインが解き放ってくれました。
これで私たち、安心して旅立てるわね。」

アーウィンは切ない表情を浮かべながらそうだなと呟く。
エレノアはブレインの方に向き直りその頬を撫でた。

「ブレイン…私の可愛いブレイン?
あなたにはこれからたくさんの困難が立ちはだかるでしょう。
それでも、そのまま真っ直ぐ進みなさい。
あなたの中にある希望の光がきっとあなたを導いてくれるはず。
父と母もあなたをずっと見守っていますよ。」

サランからエレノアの魂らしき光が抜けていく。それと同時に天から光が差し込みアーウィンも魂となる。
サランからエレノアの魂が出るとエレノア自身が姿を現した。
彼女はロウの方を向いて微笑む。

「お父様、どうかブレインを…」

ロウは深く強くうなづいた。

「もちろんじゃ、エレノア。」

エレノアはロウの言葉を確かに聞いてブレインに向き直る。

「さようなら。ブレイン、私たちはあなたのことがずっと大好きよ…!」

エレノアも魂となりアーウィンと並んだ。
2つの魂は挨拶するようにブレインの周りを回ると光指す天へと向かっていった。

光が消えその場に残された者は天を見上げていた。
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