第66章 悪夢を絶つ
大丈夫、これくらいのことでみんな倒れはしない
そう願いにも近い思いを抱えながら戦闘をサランは見守っていた。
「しっかりするのじゃグレイグ!」
ロウがベホイムと唱える。
グレイグの傷がすぐさま消えた。
「ロウ様…!かたじけない。」
グレイグが剣を握り直し体勢を整えた。
「悪夢を味わえ」
魔物はそう言うと悪夢のようなブレスを吐いた。
ブレインが光の剣。覇王斬を魔物に叩き落とす。
魔物は覇王斬を食らうと断末魔のような声を上げて倒れ込んだ。
「グゲギヤァぁぁぁぁ!?」
魔物の体が消えていく。
サランはホッとしたように胸を撫で下ろした。
また、すっとエレノアが体に入った感覚がする。
魔物が消えた後ろで戦士が立ち上がりぱぁっと光る。
「ここは…一体…?」
戦士は生前の凛々しいアーウィンの姿に戻っていた。
アーウィンは辺りを見回しブレイン達に気がつく。
「その眼差し…その目に宿る優しい光は…
まさか、そんな?」
アーウィンはブレインに近づいた。
「ブレイン?ブレインなのか?」
ブレインは頷く。
アーウィンはブレインの肩に手を添えまじまじと彼を見つめた。
サランがゆっくりと2人に近づいていく。
シルビアは待ってと手を出そうとしたがすぐに引っ込めた。
「そうか、私を絶望の淵から解き放ってくれたのはお前だったのだな?
立派になったなぁ。」
親子は見つめ合った。