第66章 悪夢を絶つ
魔物は唸ったあとに「ドルモーア」と唱えた。
闇の力がシルビアの周りを爆発する。
「うぁ…!!」
傷ついたのかカクっと一瞬膝を着いた。
「シルビアさん!?」
サランが正気になったかのようにいつもの慌てた声が出る。
「…いまのはサラン?
来ちゃダメよ!アタシは大丈夫だから」
シルビアは立ち直すと心配そうに見つめるサランにウインクする。
サランは不安そうに、でも本人が平気だと言うのだから信じるしかできなかった。せめてと思い歌を歌う。
癒しの歌を口ずさむとシルビアが受けた傷は早く消えた。
すると、シルビアは優しくサランに笑いかけると魔物に向き合った。
グレイグが魔物に向かって両手剣を力いっぱい振り下げる。鈍く重い音を立てながら剣が魔物の体に叩きつけられた。
「みておれ!」
ロウがグランドクロスを繰り出した。
強い光が交差し魔物の方へ向かうと魔物は苦しそうに唸った。
ブレインがすかさずはやぶさのような速さで魔物の体を切りつける、と同時にシルビアも火を吹きつける。
しかし、魔物は倒れる気配がない。
魔物はグレイグに飛びつき肩をひっかく。
「ぐあ…!なんのこれしき!!!」
痛みに顔を歪めるもグレイグは立っていた。