第65章 魂に呼ばれて
サランは戦士に近づきしゃがみこむ。
「あぁ…!ついにきてくれた。
彼を救ってくれる人が来るのをずっとお待ちしておりました。」
グレイグがサランから発せられる声がサランの声ではないことに気がついた。
「そう言えば、忘れてしまってたがこの声に聞き覚えがあった。
夢で助けを求めていたのはこの声だったのか。
しかし、覚えていたのがサランだけだったということか…」
サランは立ち上がり、彼女のの体を借りた声の主は話を続ける。
「あなた方のおっしゃる通り、彼はユグノア王国を治めていたアーウィン王です。
16年前、ユグノアを襲った悲劇の時…。
彼は闇に怯むことなく戦い抜きました。
正義の光を胸に、立派に王国を守りました。」
悲しそうに戦士を見つめる。
「しかし、その光は失われました
今の彼は生きることも死ぬことも出来なくなり
悪夢を彷徨う悲しい屍となってしまいました。」
サランは頭を下げた。
「どうかお願いです。
暗く悲しい悪夢から彼を解放してあげて
彼の長く暗い絶望に光を照らしてください。
それができるのはブレイン…あなたしかいないんです。」
サランはそう言い終わるとまたじっと戦士を見つめた。